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私の父親は新しい物好きでした。父親はパソコン、タブレット、スマホを使いこなし、インターネットを効率的に使っていました。そんな父親が病気で倒れ介護施設に入居し、その3年後に父親は亡くなりました。インターネットなしには過ごせない父、そして残されたデジタル遺品について、息子である私の体験談です。
自由きままなひとり暮らしを楽しむ80代の父親
母親が他界後、父親は実家で一人暮らししていました。息子である私は、結婚後に実家を離れ、隣駅で妻と二人で暮らしています。父親は私に頼らず、家事や家計の管理をすべて自分で行っていました。そもそも父親はパソコン操作が得意で、買い物はインターネット通販、お金の管理はスマホのアプリを使うなど、外に出なくても人に会わなくても何でも自由にできる環境だったのです。
病気がちになり入院、その後は介護施設へ入居
父親は年齢とともに病気がちになり、入院後は一時的に介護施設に入居することになりました。介護施設は個室で基本的に自由に過ごせます。そのため、私に父親は自分の部屋にパソコンやモバイルWi-Fiを用意して、インターネットが使えるようにしてほしいと言いました。私は、家電量販店で父親に言われたものを購入し介護施設へ行き、パソコンを設置しネット環境を整えました。その後、父親は施設内で過ごしながらもインターネットを使いこなしていました。
介護施設から再び病院へ
それから数年後、施設内で体調を崩した父親は、再び病院へ入院することになりました。病状が悪化しインターネットを楽しむ余裕は無くなりましたが、それでもスマホを片手に友達にメールを送るなど連絡を取っていた様子です。このときは、コロナが猛威を振っていた時期です。病院内では着替えなどを看護師さんに渡す程度で、面会はかなり制限されていました。父親とは思うようにコミュニケーションを取れませんでした。そのような状況ではありましたが、最後のときは親戚が集まることができ穏やかに父親は亡くなりました。父親が亡くなってからは、死亡届の提出、通夜、葬儀、初七日法要と忙しく、その後は保険や年金の手続きに追われました。
残されたパソコンとスマートフォン
父親が亡くなって2ヶ月、少し落ち着いた頃でした。残された預金通帳、保険、クレジットカードなどを調べるために、私は妻を連れて実家に帰りました。実家には、もともとあったパソコン1台と施設に置いていたパソコン1台の合計2台のパソコンがあります。ところが、パソコンはパスワードロックがかかり開くことができません。仕方なく、その日は諦めて帰宅しました。それから数日後、実家を掃除していると、父親の文字で書かれたメモ帳が机の引出しから出てきました。そこには、好きだった芸能人の名前がアルファベットで書かれていました。「もしや、これがパスワードではないか」と思い、すぐにパソコンに向かうと、案の定、パソコンのパスワードを解除することができたのです。パソコンには、家計簿、クレジットカードの引き落としなど日々のお金の記録がありました。私はこの記録を頼りに、ひとつひとつ解約手続きをしました。
デジタル遺品で問題発生
パソコンには仮想通貨の取引データが残されていました。私は仮想通貨について何も聞かされておらず不安になり、すぐに知り合いの税理士さんに相談しました。すると、仮想通貨も相続の対象になるため、残高があるのかを確認した方が良いとアドバイスを受けました。すぐに仮想通貨の会社に確認しようと思いましたが、直接対面で話し合う窓口がなく、すべてメールでのやり取りです。結局、私は必要書類を仮想通貨の会社に郵送し残高証明を取ると、仮想通貨の残高はほとんどなく、相続するほどの額ではありませんでした。デジタル遺品は見えないため非常に怖い思いをしました。
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